研究内容

研究開発の内容 Research

1. 患者・消費者にとって有益な医薬品等情報に関する調査

2018年度

国内外での従来の調査結果を踏まえて、医薬品等情報に関する患者・消費者の認識・利用状況に関する実態調査項目を設定し、アンケート調査を開始する。従来の調査結果では、患者・消費者は、医薬品情報の中で特に安全性情報に関する知識が不十分で、患者向けの公的な情報である「患者向医薬品ガイド」の認知度も7%前後と極めて低かった。また、公的な医薬品情報提供機関(PMDA)の認知度も1割程度と低く、検索エンジンを使って上位に来るサイトを利用している消費者が約半数を占めていることが明らかになった。

本研究では、薬局等医療機関にかかった患者を対象に、医薬品等情報に関しアンケート調査を開始する。前半では、関係機関との調整を行い、少人数でパイロット調査を行い、医薬品等情報に関する対象患者を設定し、医薬品等の認識・利用状況に関する実態調査項目を設定し、調査の準備を行う。後半では、対象患者に対し紙面にてアンケート調査を実施する。

2019年度

医薬品等情報の利用者のニーズおよび有益な情報は何かを抽出し、医薬品等情報の評価基準に基づいて、情報提供包括サイトに搭載するコンテンツを選択する。

2020年度

本研究で構築する医薬品等情報に関する包括サイトの試行版を用いて、患者・消費者を対象に試用調査を実施して、その使用性・有用性等を検証する。

2. 国内外における医薬品等情報の提供実態に関する調査とコンテンツの検討

2018年度

医薬品等のインターネット上の提供情報の評価基準を設定する。

①世界的な基準(HON CODE, JAMAガイドラインなど)および国内での基準(日本インターネット医療協議会(JIMA)、メディアドクターなど)を収集し、その妥当性を検討し、医薬品等情報ソースに合った評価基準の指針を作成する。国内外において現在、医薬品等情報がどのように提供されているか実態を調査する。

②班会議等において、関係者(患者団体、医療関係者、製薬会社、アカデミア等)から、医薬品等情報提供のあり方について意見交換・議論し、今後の方向性についてとりまとめる。

③患者・消費者向けのインターネット上の医薬品等の情報の実情に関する文献調査を行う。

④調査対象とする国内の情報提供関係団体等を選定し、調査項目等に設定を行いアンケート調査の準備し、アンケート調査を実施する。

⑤評価基準の指針を用いて、研究班員による実態調査として、モデルとして生活習慣病などの疾患や薬物治療などに絞り検索エンジンを用いるなどして、国内の信頼性のある情報サイトを検証する。

⑥海外の規制機関(米国FDA,英国MHRAなど)についても患者・消費者向け情報実態について調査する。

⑦新聞・雑誌記事:過去数年間における事例を洗い出し、評価基準の指針を用いて検証する。

⑧製薬企業や関係団体における一般向け情報提供の実態を調査する。前半では、調査の準備を行い、後半に実施し集計を行う。

⑨海外の提供状況を調査

海外での一般向けの公的な医療情報サイトとして定評がある米国 NIH MedlinePlus、英国NHS ChoicesおよびオーストラリアNPS Medicine Wiseに関する調査で、実際に訪問して、情報提供の現状、運用や管理について調査する。その他、海外における有用なサイト等(Choosing Wisely含む)の調査も行う。

2019年度

前年度調査の解析結果に基づいて、患者・消費者にとって利便性が高く、信頼度が高い医薬品等情報の提供の方法を提案する。

①文献調査結果を解析しまとめる。国内の情報提供関係団体等に対するアンケート調査結果を解析する。

②研究班員により収集した信頼のおける情報サイトの有用性を検証し、系統的に整理する。

③ ①、②および患者調査の結果等を鑑み、サイトの構成を検討し試作サイトの提案を行う。

④海外調査について、情報提供の方法やあり方、運用等について解析する。実施した海外情報提供機関の調査すべてについて、報告書をまとめる

2020年度

患者・消費者を対象に試用調査結果に基づいて、本研究で構築する医薬品等情報に関する包括サイトのコンテンツを検討し、情報提供の方法を最適化する。

①患者・消費者への調査、団体へのアンケート調査、研究班員による収集調査および海外調査の結果等から、包括サイトのコンテンツを検討し、情報提供の方法の最適化を検討する。

②パイロット運用の結果を踏まえ、改善策(サイトの信頼性の担保などを含む)、保守・管理の方策等についても検討しそれを含めた、情報提供システムのあり方を提言する。

3. 医薬品等情報として信頼できる情報提供サイトのパイロット運用

2018年度

患者・消費者に向けた医薬品等情報の提供システムのハード・ソフト面での仕様(案)を作成する。関係者による意見交換を踏まえ、提供システムについて検討し、ハード・ソフト面での仕様を検討し案を作成する。

2019年度

患者・消費者に発信すべき医薬品等情報のコンテンツおよび提供方法に関する研究班からの解析結果に基づいて、情報提供サイトの仕様を確定し、試行版を製作する。

2020年度

本研究で構築した患者・消費者に向けた医薬品等情報の提供サイトのパイロットの運用を行い、患者・消費者を対象にした試用調査結果を踏まえて、サイトの改善・充実を図る。

(更新日 2021年8月6日)